モーパッサンの「首飾り」

モーパッサンの『首飾り』という小説がある。
夜会に招かれた下級官吏の妻が、友人から首飾りを借りてでかけた。
夫婦して楽しい一夜だったが、借りた首飾りを紛失してしまったこと
から、弁償するために多額の借金を背負ってしまうという話。


一夜の幸せのために10年間、借金を返すために貧乏暮らしを余儀なく
される。しかも小説のラストには、借りた首飾りがイミテーション
だったと発覚する。無駄な10年だったというわけだ。


この中で、妻が首飾りを紛失したときに、夫は一言も非難しなかった。
迷いなく、ふたりで働いて返すことを選択し、夜会の一夜も幸せな
思い出として後悔などしていない。


どういう風に育てば、こういう人物になるのか?
家庭内の教育が余程良かったのだろうなと思わせる。
おそらく、貧しいけれども、両親は愚痴ひとつ言わず
毎日、神に敬虔な祈りをささげ、今ある境涯を感謝する
家庭だったのではないだろうか。


決して悪いことはするな、他人を非難するな
夫婦は助け合え。


なんでこんな記事を書くか・・・
つい先日、あまりに非道な扱いをされたので
久しぶりに怒った。
まぁ、自分一人が怒りを収めていれば良いことなのではあるが
妻の非常事態に合わせて、その精神状態を思いやり
収めていたものが一気に噴出したのだ。


そのくらい妻は、自分の母親のために献身的な介護をし
目一杯の愛情を注いでいた。
だから、理不尽なことがたくさんあったが
収めて目をつぶってきた。


49日も済ませ、やっと楽になったところで
これからもっと妻を大切にしてやろうと思っていた
その朝、とんでもないこと言い出した。
しかし、それも収めるのが男であり、夫しての
あり方だったなと反省している。


妻は、ちょっと不機嫌だが。