心の欲するところに従えども、矩を踰えず

NHK金子兜太の特集をしていた。
どういうわけか、2日続けて同じ番組をやっていた。
そのため前日見落とした場面までゆっくりと見ることができた。


この中で金子兜太氏は「まっとうに長く生きる」
ということと、「選者としての誠意」を言っていた。
「まっとうに長き生きる」というのは、奥様の質問に答えてのもの。
ある日奥様が「素朴なところで、あなたは何を目的に生きているのか」
との質問に答えてのもの。


「選者としての誠意」は、投稿される俳句の選者としての言葉。
6,000枚ものハガキを全てご覧になり、その中から句を選ぶ。
金子兜太氏は、91歳になられる。
私なら、誰かに良さそうなものを百枚選ばせて、その中から
選ぶだろう。しかし、この行為の中には「誠意」はない。


「まっとうに長く、誠意を持って生きる」ことの難しさ。
それは、自分にも他人にも嘘をつかない、誤魔化さない生き方。
確固たる意志が必要にもなり、時には衝突さえする生き方にもなる。
特に生きていく上では、なるべく他人と面倒を起こさないほうが
生きやすい。


しかし、金子兜太氏の場合には、周囲と摩擦を起こさず
それらを確立しておられるような気がした。