志の高さ

suijuan2008-01-26

「そのとき歴史が動いた」
NHK)をみた。日本で最初の地下鉄を作った、
早川徳次氏の話だった。

早川徳次氏は自費でイギリスに留学し、先進国
の知識と文化を学んだ。

ある日、地下鉄に乗ろうとしたところ、駅員に
押しとどめられた。その理由は、すでに席に座
れず立っている人が4人いるから、というもの。

移動の手段としての列車内でゆっくり座れなけ
仕事先(あるいは帰宅)へ行くまでればつかれ
てしまう。その考え方の根本には「余裕が無け
れば良い仕事ができない。強いては、文化文明
の発達に寄与できない(うろ覚えです)」


これを聞いた早川徳次氏は大いに感ずるところ
があった。それで、日本にも地下鉄を作ろうと
決心する。


と、まぁ、このような次第であったと思うのです。私が感心したのは、それを日本の事情に合わせず、安物つくりをしなかったこと。車両は頑丈で、座席は上質な布張りでスプリング入り。しかも、間接照明つき。そして、あと100年は持つといわれるコンクリートの打ち方。
とかく、夢を実現するためには拙速になり勝ちである。まして、早川徳次氏は地下鉄建設に対して、政府や財界からも否定的な見方をされ協力を得られなかった。なおさら、夢の実現にはコストを低く抑えたくなるのが人情。
それなのに、安直に流れず最上級の夢を実現しようとした志や高し。


スペイン・ポルトガルの貧乏旅行に行ったとき、その駅舎の芸術センスの高さにおどろいた。街並みの景観の美しさにも驚いた。帰国したとき、駅舎は無機質で芸術性のかけらもなく、鉄道沿線のいかにも安普請の建物は、国民性と文化の質の違いをまざまざと見せ付けた。これも、国民の志の違いではなかろうか?


もう一つ、フジTVの「奇跡体験、アンビリーバボー」でみた、バイクのエアバックとも言うべき商品を作った、無限電光社長 竹内 健詞(たけうち けんじ)氏の話。2億で契約を結ぶ寸前まで行きながら、その話を商品開発の志と違うと断ってしまった。
赤字を抱えながらも、すべてのバイク乗りの安全のために、安くて安全な商品を作ろうとする一途な生き方。
chubu.yomiuri.co.jp/news_k/glocal/glocal_030903.htm

その両方の背景には、「志の高さ」がある。