メイワクな人たち
60歳、肥満体のAさん。
花見で昼間からしこたま飲み、夕方家路に着いた。
妻に先立たれ、家に帰れば愛犬ボブが待つのみ。
主人の帰りに、千切れんばかりに尾を振るボブ。
酔っ払いながらも、夕方の愛犬の散歩を欠かさない。
しかし、いかんせん酔いすぎている。
自分の畑まで来たところであえなくダウン。
チョッと横になるうちに深い眠りへと誘われる。
陽気はいいし、まさに羽化登仙の思いで心地よい眠りへ。
と、なにやら騒がしく人を呼ぶ声が・・・
「Aさん、大丈夫ですか!?、聞こえますか!?」
「バイタルはどうだ?」
「90の140、脈拍70・・・」
酔眼朦朧、寝ぼけ眼でみれば救急隊員と近所の人の心配そうな顔が。
どうも、近所の人が「畑に人が倒れている」と通報した模様。
「別に、ナントモねぇよ、寝ていただけだ」
と自分では言っているつもりなのだが、いかんせんロレツが回っていない。
救急隊員も、Aさんが酒臭いのは充分承知しているのだが、酔っ払いが畑で寝ているとは思わない。
場所が場所だけに、また体格からしても最悪の状態を疑わなければならない。
ようやく、ただの酔っ払いが自分の家の畑で寝ていただけと解り、無罪放免。
迷惑だから、寝るのであれば自分の家で寝るようにと注意され、逆に、どこで寝ようが俺の勝手と毒づくAさん。
遠くから取り巻く野次馬も「ナァンダ、ただの酔っ払いだと」と口々に言いながら戻っていく。
翌日ワシの家で、救急車を呼ばれたと憮然とした表情で語るAさん。
ハタケで寝ていてホトケにならなくてよかったですねぇ、Aさん。とは内の妻。
ハタで寝ていてメイワクかけて、これがほんとのハタメイワク、とワシ・・・イマイチだな・・・。
- 作者: 加藤晋三
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